この作品を読めば、誰もが持っている忠臣蔵のイメージは崩れるだろう。しかし、真実はこの作品のような卑近なものだったような気がする。それほどのリアリティを持って、登場人物が描写されていて、心の動きまでよく感じられる。 とはいえ、この作品は忠臣蔵…

幕末から明治へと時代が激しく移り変わる中、主人公 六郎の仇討ちを中心に、時代に翻弄されながらも、変わらない、変えることができない、心持ちがあることが印象に残った。 仇討ち後の六郎の人生は、虚無感を感じさせるもので、本当の蒼天をみることができ…

藩内抗争のストーリーと共に、それぞれの登場人物の想いが徐々に明らかになっていく様が、絶妙に歩調を合わせる形で進んでいく。 葉室作品に共通するが、一本筋の通った生き方には憧れる。それぞれの役割、それを一所懸命に生き抜くこと、それが人生の自己肯…

今まで読んだ葉室麟の著作の中で、１番面白いと感じた。 葉室麟の著作は、静のイメージが強いが、「無双の花」は、静と動のバランスが絶妙。 家康から宗茂への言葉「泰平の世の画竜点睛となれ」は感動的。 立花の義を貫き通した宗茂の生き方に強い憧れを抱い…

描写が良く、映像が浮かぶような感じで、テンポも良く一気に読んでしまった。著者の「村上海賊の娘」と似た読後感。小太郎と半右衛門、悲しい結末なのだか、どこか、からりとした爽やかさも感じる。江戸時代とは異なる戦国時代特有の心情はさっぱりとして気…