蒼天見ゆ / 葉室麟
幕末から明治へと時代が激しく移り変わる中、主人公 六郎の仇討ちを中心に、時代に翻弄されながらも、変わらない、変えることができない、心持ちがあることが印象に残った。
仇討ち後の六郎の人生は、虚無感を感じさせるもので、本当の蒼天をみることができなかったのではないだろうか。
今まで読んだ葉室作品とは異なり、少し後味の悪い読後感がある。
散り椿 / 葉室麟
藩内抗争のストーリーと共に、それぞれの登場人物の想いが徐々に明らかになっていく様が、絶妙に歩調を合わせる形で進んでいく。
葉室作品に共通するが、一本筋の通った生き方には憧れる。それぞれの役割、それを一所懸命に生き抜くこと、それが人生の自己肯定感を高めるのだと思う。
小太郎の左腕 / 和田竜
描写が良く、映像が浮かぶような感じで、テンポも良く一気に読んでしまった。著者の「村上海賊の娘」と似た読後感。小太郎と半右衛門、悲しい結末なのだか、どこか、からりとした爽やかさも感じる。江戸時代とは異なる戦国時代特有の心情はさっぱりとして気持ち良い。