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花や散るらん / 葉室麟

この作品を読めば、誰もが持っている忠臣蔵のイメージは崩れるだろう。しかし、真実はこの作品のような卑近なものだったような気がする。それほどのリアリティを持って、登場人物が描写されていて、心の動きまでよく感じられる。

とはいえ、この作品は忠臣蔵についてのものではなく、あくまでも、雨宮蔵人(とその妻、咲弥)が主人公であり、葉室作品にお馴染みの、芯の通った生き方の主人公とするものだ。

文庫本の解説(島内景二氏)に、「読者の価値観を変容させる」作品と高く評価しているが、これは葉室作品に共通していると感じる。

時に頑迷な程に、自分の生き方を貫き通す姿に静かな憧憬の念を抱く。

蒼天見ゆ / 葉室麟

幕末から明治へと時代が激しく移り変わる中、主人公 六郎の仇討ちを中心に、時代に翻弄されながらも、変わらない、変えることができない、心持ちがあることが印象に残った。

仇討ち後の六郎の人生は、虚無感を感じさせるもので、本当の蒼天をみることができなかったのではないだろうか。

今まで読んだ葉室作品とは異なり、少し後味の悪い読後感がある。

散り椿 / 葉室麟

藩内抗争のストーリーと共に、それぞれの登場人物の想いが徐々に明らかになっていく様が、絶妙に歩調を合わせる形で進んでいく。

葉室作品に共通するが、一本筋の通った生き方には憧れる。それぞれの役割、それを一所懸命に生き抜くこと、それが人生の自己肯定感を高めるのだと思う。

無双の花 / 葉室麟

今まで読んだ葉室麟著作の中で、1番面白いと感じた。

葉室麟著作は、静のイメージが強いが、「無双の花」は、静と動のバランスが絶妙。

家康から宗茂への言葉「泰平の世の画竜点睛となれ」は感動的。

立花の義を貫き通した宗茂の生き方に強い憧れを抱いた。

小太郎の左腕 / 和田竜

描写が良く、映像が浮かぶような感じで、テンポも良く一気に読んでしまった。著者の「村上海賊の娘」と似た読後感。小太郎と半右衛門、悲しい結末なのだか、どこか、からりとした爽やかさも感じる。江戸時代とは異なる戦国時代特有の心情はさっぱりとして気持ち良い。